役員報酬 | 税理士法人田子会計事務所のブログ

BLOG

ブログ

役員報酬

役員報酬の設定

会社を設立して最初に迷うのが役員報酬の設定ではないでしょうか?他の手続きは、社会保険労務士や税理士に頼めますが、役員報酬の設定は自分で決めなければなりません。しかも、役員報酬が経費として認められるには要件があるので、それに沿った形が求められます。法に沿って役員報酬の設定し、資金繰りもきちんと回り、かつ、税金や社会保険も考慮する必要があります。実は役員報酬の設定は結構大変です。

毎月同額の給与

 役員に対する給与は、毎月同じ金額が支払われる場合だけ損金になります。これを「定期同額給与」と言い、「その支払時期が1月以下の一定期間であり、かつ各支給時期における支給額が同額である給与」とされています。

 例えば、毎月100万円支給していたのに、12月だけ130万円支給した場合には、30万円が損金にはなりません。

 また、税務上の役員は法定役員だけでなく、みなし役員も含まれるので注意が必要です。みなし役員とは、会社の使用人以外のもので、その会社の経営に従事している者、同族会社の使用人のうち、支配株主グループに属し、その同族会社の経営に従事している者をいいます。取締役や監査役などの法定役員でなくても、会社のみなし役員として税務上の役員となることがあるので、気を付けましょう。

役員給与の落とし穴 ①

 定期同額の役員給与は原則として損金になりますが、過大な役員給与は損金として認められないので、注意が必要です。職務執行の対価として支払われるものは費用として認められますが、相当額を超える部分は実質的に利益処分とみられるからです。相当額を超える部分とは、実質基準または形式基準を超える部分のいずれか多いほうの金額をいいます。

 実質基準:役員の職務の対価として相当な金額であるかどうかは、(ア)その役員の職務の内容、(イ)その会社の収益状況、(ウ)従業員に対する給料の支給状況、(エ)その会社と同程度の他社の役員給与の支給状況等によって判断されます。

 形式基準:会社法上、取締役および監査役の給与の支給限度額は、それぞれ区別して、定款または株主総会に決議によって定めることになっています。その際、支給限度額が総額で定められているときは、その総額で支給限度額を算定し、それぞれの役員ごとに定められているときは役員ごと個々に計算することになります。

 役員給与は、実質基準および形式基準の限度額を超えないように、常に適正な金額を心がけて支給しましょう。

役員賞与の落とし穴 ②

 役員給与については「定時」「定額」という形式的な基準を採用し、賞与などそれ以外は損金不算入とされていました。これが平成18年の改正により事前に届出をすることにより損金に算入されることになりました。なお、税務署への届出は、原則として、株主総会等で役員賞与を支給する旨の決議をした日から1カ月以内にする必要があります。(事前確定届出給与)

 そして、賞与を支給するときに注意しなければいけないことが2つあります。一つ目は税務署へ届出をした金額ぴったりに支払うことです。届出額より多くても少なくても、その全額が損金不算入になってしまいます。二つ目は、役員に賞与を支給すると社会保険料の負担額が増える場合があるということです。毎月の給与を賞与に振り替えることで賞与を支給する場合には、その賞与にも社会保険料がかかってきて負担額が増えることがあります。

 必ず事前の届出を行い、節税に役立てましょう。