法人化のメリット・デメリット
個人事業でそれなりの所得になると法人化を考える方も多いでしょう。弊社にも法人化のご相談にいらっしゃる方も多いです。ここでは、法人化するメリットを紹介します。参考にしてください。
ただ、実際に法人化するかどうかは税理士にご相談ください。法人化するのは難しくないですが、法人化してまた個人に戻すのは難しいです。慎重にご判断ください。
法人化するメリット
個人事業主が法人化することで、節税対策になるのは大きいかと思います。もちろん節税以外にも多くのメリットがあります。ここでは、代表的なものを紹介します。
節税対策にもなる
企業の利益に掛かる法人税は一定の率となっています。法人が支払う税金である法人税と法人住民税、法人事業税を合わせた実効税率で約35%です。それに対して、個人の所得に対して課税される所得税は、累進課税です。所得が増えるほど税率が高くなり、最高税率は住民税と合わせると55%です。
なので、個人で所得が多く、税率が高い方は、法人にし役員報酬を支払った方が一般的に有利となります。
目安としては、年間の所得が700万円を超えると、法人化した方が節税になるケースがあります。個人の状況により違いますので、所得税の申告書をもって税理士等にご相談してみるとよいと思います。
有限責任にできる
法人化して株式会社や合同会社にした場合には、個人保証による借入を除くと出資金の範囲内での責任になります。個人事業では、経営が悪化した際に仕入れ先への未払い金や金融機関などからの借入金、滞納している税金などは個人の負債として背負うことになります。法人の場合は、有限責任にできるとも言えます。
信用力が上がる
一般的に個人事業主よりも法人の方が信用度が高いといえます。また取引先を法人に限定している企業もあります。法人化することで取引先を確保しやすくなり、取引先の幅が広がります。
また、金融機関からの借入を行う際にも個人事業主では事業目的の融資は難しいです。個人事業主で借入できても保証人を求められるケースが多いです。法人化することで信用力が上がります。その結果、金融機関からの融資など、資金調達がしやすいこともメリットに挙げられます。ただし、法人でも借りやすくなるのは、法人でもきちんと利益を出し、役員報酬を支払っているというのが前提となります。
近年は、人材採用の面でも法人化した方が人が集まりやすいというので法人化する方も多いです。より優秀な人材を求めているのであれば、法人化はよいと思います。
法人化のデメリット
社会保険へ強制加入
法人化すると雇用する人数に関係なく、強制加入になります。健康保険と厚生年金は個人事業では特定の業種で5名以上雇用している場合のみ強制加入の対象になりますので、入らない個人事業主も多いです。
健康保険や厚生年金の保険料は、会社側と従業員側が折半で支払います。目安として、社会保険料は30%位を会社と個人で折半です。会社の負担も増えて、従業員も手取りが減ります。法人化した時の保険料の負担は前もってシミュレーションする必要があります。社会保険は会社負担も大きいため、負担も考えて、家族や従業員の関係するので相談しながら検討しましょう。
赤字でも税金の支払いがある
法人に課される法人住民税は、資本金などをもとにした均等割部分がたとえ赤字であっても発生します。前橋市の場合、小規模法人の場合で8万円ほどがかかります。
個人事業主であれば、赤字なら所得税や住民税などの税金は0です。
会計や事務手続きなどが増える
法人化すると会計処理が複雑化するため、会計や申告を自分でやるのはかなり困難になります。
税理士や公認会計士に依頼するとコストが発生します。また社会保険などの手続きなど事務処理も煩雑です。事務スタッフが必要になるケースもあります。
法人化の手続き
法人化を検討したら、税理士事務所や司法書士などに相談しましょう。
手続き自体は、会社の名称、目的、事業内容、出資者などを決めておけば、後は専門家が登記手続きをやってくれます。最短で2週間ほどで設立はできますので、焦らずによく検討して法人化の手続きを進めてください。