知っておきたい役員報酬 | 税理士法人田子会計事務所の税務会計講座

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知っておきたい役員報酬

役員報酬の決め方

儲かったらもらう方式はNG。ではどうする??

役員報酬は法人の経費の中でも調整しやすい項目のため、損金に算入(税務上の経費にする)には要件が厳格に決まっています。それに当てはまらないと経費にならないことも多いです。

中小企業で役員報酬が税務上の経費にできるのは次の2つです。

①定期同額給与: 毎月同額が支払われる給与

②事前確定届出給与:事前に届け出ておく臨時の給与

このうち、毎月の給与は①ですが、これが経費と認められるためには事業年度開始から3 ヶ月以内に金額が決定され、 事業年度末まで同額であることが必要です。たとえば、3月決算であれば、5月の株主総会をしてそこで役員報酬を決定し、そのご5月から次の4月までは毎月同じ金額を報酬として支払う形となります。一度決めたらそのまま年度末まで維持することが条件になっており、途中でこれを外したらその分が経費に認めてもらえません。

役員報酬が固定であるべき、とする根拠は税法とは別の解釈からもあるのですが、要は 「税金を取られるくらいなら役員にボーナスで分配しちゃおう」ということを認めていたら、 税の徴収に支障を来たすからだとも言われています。

その結果、事前に利益を予測して、たとえば次のように決めることになり ます。

①年度内の売上を見込む ②費用(役員報酬を除く)を見込む ③利益目標を設定する。

①-②-③が役員報酬としての目安です。これで生活できるかを判断しながら調整を入れることとなります。

なお、ここでポイントなのは、売上を固く見過ぎないことです。 今確実に見えている売上 だけを見込んでこれを行うと、別案件のおかげで利益だけはやたらに出て税金が取られた。 それならもっと自分の給料を高くしておくべきだった、という事態はありがちです。 なお、 少し高くて一時的に満額払えない月があっても大丈夫です。 未払金にして、 払えなかった部分は、会社に余裕資金ができたとき支払えば大丈夫です。

役員報酬の税金等について

役員報酬は給与や賞与と同様に所得税と住民税がかかります。また、社会保険料の支払いも必要となります。

さらに、役員報酬は法人の経費となりますが、経費として認められる額には限度があります。額が高すぎる場合は、所得税法上、経費として認められない場合もあります。

役員報酬の金額について

役員報酬は、法人と役員個人との契約に基づいて決めることができます。よって、中小企業の場合自分で自分の役員報酬を決めることが多くなり、金額をどうしようかと迷うこともあると思います。

税務上で役員報酬の金額が多すぎて否認されることもあります。

税務調査で役員報酬の金額については、下記を参照に確認されます。

1. 仕事内容に基づく
役員が担う業務内容に応じて、報酬額を決定します。例えば、重要な仕事や責任が大きい仕事には高い報酬を設定することが適切です。

2. 業績に応じた報酬
業績が良ければ、それに応じた報酬を支払うことができます。例えば、売上高や利益が伸びた場合には、一定割合の報酬を支払うことができます。

3. 業界の相場に基づく
同業他社の役員報酬を調べ、自社がその業界でどの程度の報酬を支払っているかを確認しておくことが重要です。相場よりも低い報酬を支払ってしまうと、優秀な役員を採用することができなくなる恐れがあります。

4. 法律に基づく
役員報酬を巡っては、法律や税務上の制限があります。例えば、役員個人に支払うことのできる上限額や、報酬支払いに必要な手続き、必要な書類などがあります。それらを事前に確認し、正しく対応することが必要です。

以上、法人化した場合の役員報酬の決め方についての簡単な説明でした。

必要に応じて税理士や弁護士に相談することをおすすめします。