今さら聞けない!税金の基本的なこと | 税理士法人田子会計事務所のブログ

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今さら聞けない!税金の基本的なこと

私たちは、日々たくさんの税金を様々な場面で払っています。5月には自動車税、6月には住民税課税決定通知書が来ました。7月は所得税の予定納税があります。毎日の生活から人生の大きな節目まで、税金は私たちの生活に密着しています。しかし、難しそうというイメージから敬遠しがちで、意外と税金のことを知らない方も多いと思います。まずは税金の基本的なしくみを知ることからはじめてみましょう。

そもそも「税金」ってなに?

税金とは、わかりやすくとらえると「会費」のようなものと言えます。同好会や自治会等、人が集まって何か団体をつくると費用が発生します。そこでそれらの団体は会費を徴収するのですが、国や地方公共団体が徴収する税金もそれに似ています。
 福祉や教育など、国や地方公共団体が行っている公共サービスには、多くのお金がかかっていますが、私たちがそれらのサービスを利用する際、その都度費用を払うことはありません。公共サービスを受けられるように、まとめて会費のようなものとして税金を納めていると考えるとわかりやすいでしょう。

なぜ税金を納めなければならないのでしょうか。国や地方公共団体が「強制的に徴収」できるのは税金が国民の義務だからです。憲法30条には「国民は、法律の定めるところにより、納付の義務を負ふ」と定められています。日本で生活していく以上、税金と無関係ではいられず、「会費」のようなものでも「強制的に徴収」されるのが税金ということになります。

税金にはどんな役割がある?

私たちが納めている税金には大きくわけて4つの役割があります。この役割と共に、その税金が何に使われているのかを知って、社会人として基本的な知識を押さえておきましょう。

役割①公共サービスの資金調達

役割②所得の再分配
 収入や遺産の多い人から、より高い割合の所得税や相続税を課し、その分の税金を社会保障制度などを通じて所得や財産の少ない人に分配されるしくみになっています。

役割③景気の調整
 所得税は特に、好況のときには課税額が増え税率が上がるので、景気を抑制する方向に働き、反対に不況時には税率が下がるので景気を刺激する方向に働くことがあります。景気の自動調整装置のような役割を果たしています。

役割④政策の手段
 NISAやイデコのように、証券投資を盛んにしたいと考えたら、株の売却益や配当に対する税金を優遇するような制度を作ったりします。

 私たちが納めた税金の使い道ですが、国の歳出の内訳から約34%は社会保障関係費に、約6%が公共事業関係費に使われています。また、約24%は国債費(国債の元本の返済と利子の支払額)に充てられており、それだけ国の借金が多いことがわかります。

どんな税金があるの?

日本には多くの税金がありますが、「何に対して課税されているのか」を考えると、いくつかの種類に分類することができます。またどこが課税してどこの収入になるのかという違いもあります。課税権が国にある税金が「国税」、地方公共団体にある税金が「地方税」です。なお、地方税は「道府県税」と「市町村税」に分けられます。

第①グループ…所得に対して課税(個人の収入や会社の利益などに課税される)
       国 税:所得税、法人税など
       地方税:個人住民税、個人事業税、法人住民税、法人事業税、住民税利子割
第②グループ…資産に対して課税(資産を手に入れたり持ったりすると課税される)
       国 税:相続税、贈与税、
       地方税:固定資産税、都市計画税、自動車税など
第③グループ…消費に対して課税
       国 税:消費税、酒税、たばこ税、関税など
       地方税:地方消費税、道府県たばこ税、入湯税、軽自動車税など
第④グループ…流通に対して課税
       国 税:印紙税、登録免許税、自動車重量税など
       地方税:不動産取得税

税金はどうやって納めるの?

税金の納め方には2つの方法があります。一つは、所得税や法人税などのように、直接私たちが手続きをして納める「直接税」です。二つ目は、物を買ったときに、その値段の中に税金が含まれていて、間接的に納めたことになる「間接税」です。
また、納める額についても、税金の種類によって自分で計算する「申告納税」と、税務当局が計算してくれる「賦課課税」があります。どちらの納税にしても、実際には銀行や郵便局などの金融機関に納めることになります。

税金を納められないとどうなるの?

もし税金を納めなかったらどうなるか、気になるところだと思います。一度課税された税金を無くなることはありませんが、少しの間、納付を待ってくれる「納税猶予」というものがあります。ただし、災害等で大きな損害を受けた場合や、納税者や家族などが病気にかかった場合など特殊な事情で税金の納付が困難な場合に、税務署長の許可を受け、一年以内の期間の分割納付が認められるというものです。コロナによる納税猶予を受けた方も多くいると思いますが、その猶予期間後には必ず税金を納めることになります。
 また相続税では、原則5年以内に分割して納める「延納」、モノで納める「物納」の制度がありますが、これは相続税のみに認められ、他の税金では認められていません。
 期限までに完納できないと、50日以内に催促状が届き、さらに10日経過すると財産の差し押さえなど滞納処分の手続きが行なわれることになります。

脱税をするとどうなるの?

不正行為により税金を逃れようとすると、法人税違反、所得税違反、相続税違反などで処罰されることになります。その罰則規定は意外に厳しく、10年以内の懲役もしくは1000万以下の罰金です。税金逃れには35%または40%の「重加算税」、過少申告の場合には原則10%の「過少申告加算税」、期限内に申告をしないと原則15%または20%の「無申告加算税」がかかります。これらを期限内に納付しなければさらに「延滞税」もかかり、脱税や申告漏れをした時のペナルティはかなり厳しいものとなります。
 なお、申告漏れでなく逆に多く納めすぎてしまった場合には、一定の手続きをすれば税金を戻してもらうことができます。申告期限から原則5年以内に「更生の手続き」を行ってください。特に医療費控除や雑損控除などについては、確定申告をすれば5年前までさかのぼって還付を受けられので覚えておくと良いでしょう。

困ったときには?

 税金の知識は、仕事や生活の上で不可欠といえるものです。税金のことを知っていて納めるのと、知らずにただ取られていると感じるのとでは、大きな違いだと思いませんか?もしかしたら損をしていることがあるかもしれません。税金については、実際の手続きとなると、自分だけの判断では難しいところも多くあります。確定申告や相続等、税金のことでお困りのことがありましたら、群馬県前橋市の田子会事務所までお問合せください。