年末調整と扶養 103万?130万? | 税理士法人田子会計事務所からのお知らせ

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2022.10.27 年末調整と扶養 103万?130万?

年末調整と扶養 103万?130万?

パート・アルバイト等で働く方が気になるのが年収の「壁」への対策です。年収や所得を正しく把握し、超える壁を見極めた上で、安心して年を越せるよう準備を進めましょう。

所得税の壁 103万円

年間の収入が103万円を超えると、所得税 の課税対象となります。 この103万円という 金額は、給与所得に対する控除の仕組みに よって決まっています。

給与所得者は、給与所得を得るための必要 経費にあたる分を収入から控除 (差し引き) することができます。 年収が103万円の場合、 給与所得控除は55万円で、これを差し引い て残った48万円が 「所得」になります。

ここから「基礎控除」の48万円(所得が2,400 万円以下の場合)を差し引いて、 残った分が 課税対象(課税所得) となります。

年収が103万円以下であれば課税所得がゼ ロになるため、所得税が課されないのです。

103万円を超えてしまった場合、配偶者(夫 妻)の場合と扶養家族(子ども等)の場合 で、受ける影響が異なります。

妻の年収が103万円を超えると、 妻に所得税が課されます。 また、夫は配偶者控除が受けられなくなりますが、 妻の年収が201万円 を超えるまでは配偶者特別控除が受けられる 場合があります。

子は、 年収が103万円を超えると、所得税 が課され、父親が受けていた扶養控除を受け られなくなります。 また、扶養控除には 「配 「偶者特別控除」のような制度がありません。 妻の年収が103万円を超えた場合に比べて家 計への影響が大きく、注意が必要です。

年内に2か所以上からの給与所得がある場合

「2か所以上から」と聞くと副業や掛け持 ちを思い浮かべるところですが、 転職した場 合も同様に注意が必要です。

転職を年内に複数回している場合、年収や 所得を計算するためには、すべての勤務先か らの収入を正しく把握する必要があります。 見落としがないよう注意してください。

また、転職した場合、前職からは離職時に 源泉徴収票を受け取っているはずです。現在 の職場への提出漏れがないかを確認し、見つ からない場合は以前の職場へ連絡して入手しましょう。

家族の給与以外の収入にも注意

株や為替、 暗号資産等の取引で得た利益、 物品等の転売益、家賃収入、 生命保険の一時 金や損害保険の払戻金、公営競技 (競馬など) の払戻金等は、雑所得や一時所得として所得 税等の課税対象となる場合があります。

これらを正しく把握していないと、意図せ ずに年収の 「壁」 を超える、 誤った情報を基 に所得税の申告を行う、 などのトラブルの原 因となります。

住民税の課税対象となる「100万円の壁」

所得税とは別に、住民税にも課税対象とな るかどうかの「壁」があります。 自治体によっ て異なりますが、年収93~100万円を超える と課税対象となります。

いため、意識することは少ないですが、住民 税の納付通知書が届いた際には忘れず対応し ましょう。

「106万円の壁」 と 「130万円の壁」は 社会保険の扶養範囲?

「106万円の壁」 と 「130万円の壁」 は、 本 人の社会保険への加入の必要性にかかわるも のです。

「106万円の壁」は、年収の概算値で 「106 万円」 といわれていますが、 実際の条件は 「月 額賃金8.8万円以上」です。 このほか 「勤務 先の従業員数」 や 「週の所定労働時間」 など で一定の条件を満たすと、 社会保険の加入対 象になります。

「130万円の壁」 は、 年収が130万円を超え ると、配偶者の扶養から外れることとなり、 自身で国民健康保険 国民年金に加入する必 要が生じます。

保険や年金は、 将来のお金の問題にもかか わります。 これを機にもっと働く、扶養の範 囲に抑えるなど、 「壁」 を超えるときは、 働き方まで含めて十分に検討しましょう。